「脳を鍛えようと思ったとき、特に重要なのは前頭葉の力を高めることです」(『脳が冴える15の習慣』)と語るのは、財団法人・河野臨床医学研究所理事長の築山節(つきやま・たかし)先生です。
前頭葉とは、脳の中で、いろいろな情報を整理するところ、体に命令を下すところです。いうなれば脳の司令塔です。
私たちが勉強をして、いろいろな情報を得、整理し、考える時、主にこの前頭葉が働きます。また、体に命令を下して、行動を促す時も、この前頭葉が働きます。
つまり前頭葉は、思考と実行の二つの働きに携わっていることになります。ということは、私たちの思考力と実行力は、この前頭葉を鍛えることによって強まるということです。
築山先生は、前頭葉の力をつけるためには、勉強することと同時に、日常生活の小さな働きを小まめに果たすことを勧めておられます。
部屋の片付け、壊れている物の修理、自分の身近にある、少し面倒くさいと思われるようなことを毎日少しずつ解決してゆくとき、前頭葉に体力がついてくるそうです。
前頭葉に体力がついてきますと、たとえ限られた知識や経験しかなくても、それらをうまく組み立てて、行動に移すのが上手になります。要するに、実行力がつくのです。
逆に前頭葉が衰えてきますと、知識や経験があっても、行動するのが苦手な人になります。博識なのに、それを活かせなくなるのです。何かに取り組もうとしても、途中で面倒くさくなり、あるいは辛さに耐えられずに挫折してしまいます。
築山先生は、現代人はこの前頭葉の体力が失われつつある、とおっしゃいます。原因は、現代社会の便利さにあるそうです。世の中が便利になって、日常的な小事をする機会が減り、面倒な作業をする訓練が少なくなったからだそうです。
築山先生は、若い頃の小事は買ってでもしろ、とおっしゃいます。毎日自分を小さく律することが、大きな困難にも負けない脳の耐性を育てる、とおっしゃるのです。
私はふと、「三育教育の寮生活は、たいへん有意義なんだナ」と連想しました。
脳を鍛えるためには、面倒くさい小事を!! これは、若者だけでなく、中高年にも有効なのだと思います。率先して小さな働きをこなしてゆきたいと思います。
「小事に忠実な人は、大事にも忠実である。そして、小事に不忠実な人は大事にも不忠実である」(ルカによる福音書 16章10節)。 なるほど・・・・