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2007年2月 第243号                                         
     春待つ心
     
           
           渡部 正廣 
                  
 「春待つ心と題して、何か古いてください」とのご依頼を受け、思いつくままに、書かせていただきました。

 冬の寒さの中にあって、暖かい春の到来を待ち望む心は、どなたにもおありのことと存じます。
 春には、自然界も活発に活動を開始します。草木も新しい芽をふき、美しい花を咲かせ始めます。梅が咲き、菜の花が咲き、桜も咲き、そして紫色の藤の花と、色とりどりの花が順を追って咲き始めます。
 野原や田んぼの畔道には、たんぽぽの花をはじめ、名も知らぬ小さな草花が、暖かい春の日差しを浴びて、一面に咲き揃います。このような春を待つ心は楽しいものです。
 そして私達人間には、春待つ心と同様に、楽しきこと、願わしきことなどを待ち続ける心があるのです。
 
 「這えば立て、立てば歩めの親心」という諺があります。生まれた子が這うようになれば、早く立つようになれと願い、立つようになれば、早く歩くようになれと願う、わが子の成長を楽しみに待ち続ける親の心を言い表したものですが、このように子供は、親の愛情を一身に受けながら、成長し続けるのです。
 そしてその子等も大きくなり、青年の男女となって、都会などへ出て行くようになり、親から離れていくのです。親は今度何時会えるのかと、わが子の帰りを待ち続けるのです。

 「兎追いしかの山、小鮒釣りしかの川」で始まる小学校唱歌「故郷」は、日本人に一番愛されている唱歌だそうです。故郷を離れた青年男女が、親から離れてみて、初めて親の有難さがわかり、故郷の懐かしさが、一人身に沁みて感じられることなのでしょう。そして何時の日か、故郷へ帰れる日を待ち続けるのです。
 こう見て参りますと、人生は待つことの連続であると思われ.ます。

 そして私達も、アドベンチストの名が示すように、主の御再臨を待ち望んでいる民であり、私達の究極の故郷は天国であります。
 天の故郷では、父なる御神様が私達の日毎の歩みをお守り下さっておられ、そして時満ちて、主の御再臨の時、私達が天国に連れていっていただく時、父なる御神様は、私達の帰りを天国で待っていて下さるのです。有難い神様の御愛を感謝致しております。

 今年も春の訪れを待ちながら、最大の希望である主の御再臨を心から待ち望む、私達一人一人でありますように、神様の御守りを心からお祈り申し上げる次第です。                    (東京中央教会長老)


                                                                                                      






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