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2003年10月 第202号
                                      
   「主の顔をさけて
ヨナ書より

             東京中央教会副牧師 ウォーターズ・今日子  

 時は紀元前8世紀、北王国イスラエルから地中海を目指して足早に旅する預言者がいた。イスラエルの国ですでに人気を博していた預言者ヨナでした、ヨナが急いでいるのは主の任務を果たすためではなく、主の任命から、主のみ前から逃れるためでした。
 「立って、あの大きな町ニネベに行き、これに向かって呼ぱわれ。彼らの悪がわたしの前に上って来たからである。」(ヨナ1:2) 当時を代表するアッシリアの首都ニネベは、イスラエルにとって宿敵であり異邦人の国です。そこに一人で乗り込んで、彼らに「救われよ」と絶叫しなければならない。ヨナにとって、まさに青天の霹靂(へきれき)でした。ヨナの心と体はニネベとは正反対の西のはてタルシシュに船で向かっていました。タルシシュはスペインにある町です。まさに地のはてです。そこでは神様の目が届かないと思ったのかもしれません。
 乗った船が大暴風にあって、主に背いたヨナは海で溺死する覚悟を決め海の底に落ちて行きます。もう神のみ手もここまでは届かないだろう。一人静かに海の底で息絶えることを予期しながら。 しかし、神はさいはての真っ暗な海の底にもいて下さったのです。ヨナを救うため大きな魚を用意して下さったのです。ヨナは三日三晩、魚の腹の中にいました。私は魚の腹の中を想像するだけで身震いがします。魚の腹の中で祈ることしかできなかったヨナ、祈ることが残されていたヨナの叫びに主が聞かれ答えられている様子が2章に書かれています。神の慈愛が伝わってきます。
 極限まで下がって行ったヨナに個人的に関わり、交わりを回復して下さったのは主である神様でした。主のみ前から逃れようとする預言者ヨナ、そのヨナをどこまでも諦めないで捕らえ続け追い求めて下さる神様。福音を伝える為にヨナを再び用いて下さる神様。私たちも、神から外れる者、ときに背を向けてしまう弱い者です。かたくなで、愚かで、悟りがたい私たちです。しかし、ヨナを捕らえて下さった神はどこまでも私達を追い求めて下さるのです。
 「わたしはどこへ行って、あなたのみたまを離れましょうか。わたしはどこへ行って、あなたのみ前をのがれましょうか。わたしが天にのぼっても、あなたはそこにおられます。わたしが陰府に床を設けても、あなたはそこにおられます。わたしがあけぼのの翼をかって海のはてに住んでも、あなたのみ手はその所でわたしを導き、あなたの右のみ手はわたしをささえられます。(詩139:7-10)」
 今期の安息日数課は親しみやすいヨナ書の学びです。4章という短いヨナ書を通して、神の豊かな恵みを発掘し分かち合いましょう。





                                                                                                      






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